『ジャージー・デビル・プロジェクト/The Last Broadcast』(米1998) ホラー・モキュメンタリーの草分け的な映画

2026年1月16日金曜日

モキュメンタリー 映画鑑賞後記録

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UMAを探す系のPOVだと思って観たら違った

 この映画の存在は、タイトルだけなら昔から知っていました。

 Filmarksではそれなりの高評価。
 内容については、POV黎明期の作品で、UMAを探しに森へ入った人間が死ぬ――その程度の認識しかありませんでした。
 そこから勝手に、よく調べもせず「きっと『トロール・ハンター/Troll Hunter』みたいな感じなのだろう」と思い込み、いつか観ようと考えていました。

 我ながら、何年も観ずに放置していたのか呆れますが、気まぐれに「今日観る映画は何にしようか」と考えていたときに思い出し、とうとうこの作品を鑑賞しました。

 ところが、実際に観てみると、自分の予想とはまったく別物でした。
 まず、この映画はモキュメンタリーであり、POVですらありません。
 さらに言えば、「ジャージー・デビル・プロジェクト」という邦題が付いているだけで、ジャージー・デビルは作中で特に重要な存在でもなく、その姿が直接描かれることもありません。

 まあ、そりゃそうです。
 原題は The Last Broadcast(最後の放送) なのですから。


殺人事件の真犯人を探すモキュメンタリーだった

 都市伝説のUMA「ジャージー・デビル」を探す自主制作番組を撮影するため、4人の男が森の中に入り、キャンプを張ります。
 ところが、そのうち3人が殺害され、警察は1人生き残った男・ジムを犯人として逮捕します。しかしジムは勾留中に自殺してしまいます。

 警察の「ジムが犯人だった」という結論に疑問を抱いたジャーナリストのデイヴィッドが、真相を探るためにドキュメンタリーを制作する――というのが、この映画の大まかな内容です。

 確かに、ジャージー・デビルを探しに行った人間が3人死んでいますが、それはジャージー・デビルの仕業でも何でもなく、ただの殺人事件です。

 というわけで、勘違いして「ジャージー・デビル探しのPOV作品」を期待していた私にとっては、かなり期待外れの内容でした。


ブレア・ウィッチ・プロジェクトとの類似性が話題になったみたいだが

 1999年公開の映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と、この『ジャージー・デビル・プロジェクト』がよく似ている、あるいは本作がブレア・ウィッチ・プロジェクトの制作に影響を与えた――といった話が、WEB上ではまことしやかに語られているのを見かけました。

 ですが、個人的にはこの2作品はまったく方向性が違う映画だと思いますし、「何がどう、どこが似ているのか」は正直よく分かりませんでした。

 少なくとも、人間同士がギャアギャア騒いで喧嘩するだけで、結局ほとんど何も起こらない――個人的には「つまらない」「面白くない」としか感じられなかった『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と比べれば、しっかりとした結末が用意されている『ジャージー・デビル・プロジェクト』の方が、10倍はマシで面白かったと思います。

 ちなみに、この邦題は明らかに『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を意識して、配給会社が付けたものだと考えて、まず間違いないでしょう。


狂気エンド系の映画だった

 本作には、最後にどんでん返しというか、意表を突く結末が用意されています。

 実は、ジムの無罪を頑なに信じてドキュメンタリーを撮り続けていたデイヴィッド自身が、まともな人物ではなく、かなり危険な狂人だった――という事実が、ラストで明かされます。

 結局のところ、デイヴィッドがジムの無罪を信じて疑わなかったのは、真犯人が誰なのかを「最初から知っていた」から、というオチでした。

 その結末を見て、「えっ、そういうことだったのか」と多少の驚きはありました。
 ただ、ジャージー・デビルが出てこない映画だと気づいた時点から半ば惰性で観ていたこともあり、衝撃的な展開を目にした割には、個人的には「ふーん、あっそう」と、かなり無感動なまま終わってしまいました。

 観終わってから、これはホラーというよりスリラーやサスペンスに分類される映画だったのだと理解しましたが、緊張感が持続するタイプの作品でもなく、インタビューシーンが多いため途中でダレてきます。
 映像も地味で、全体を通して盛り上がりに欠ける映画だった、という印象が強いです。

 さらに言えば、大分類では間違いなくホラーなのでしょうが、「どこが怖かったか」と訊かれたら、特に思い当たる部分はなかった、と答えるしかありません。


資料として観ておくべき作品だとは思った 

 『ジャージー・デビル・プロジェクト』は、本来であれば、擬似ドキュメンタリーの元祖、あるいは世界初のデジタル撮影映画として、映画史的にもパイオニア的で記念すべき作品のはずです。
 それにもかかわらず、なぜか知る人ぞ知る程度にとどまり、あまり有名な作品ではありません。

 国内で劇場公開され、大きな話題になった『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』とは対照的に、本作はかなりマイナー寄りの扱いです。
 当時のレンタルビデオ店に置いてあり、実際に借りてキャプチャーもしているので、国内版VHSが発売されていたことは間違いありませんが、日本で劇場公開はされなかったのではないかと思います。

 とはいえ、個人的には『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と比較するなら、間違いなく『ジャージー・デビル・プロジェクト』の方が面白いと感じました。

 最終的な評価としては、「悪い・普通・良い」の三段階で言えば「普通」でいいでしょう。
 好みのタイプの作品ではありませんでしたが、モキュメンタリーとしての基本はきちんと押さえていますし、何より「最初にやった」という点は素直に評価すべきです。
 そういう意味では十分に及第点のある作品ですし、ただ私の好みではなかったというだけで、この映画自体はもっと評価されてもいいと思います。

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